お知らせ

講習会・セミナー トップオピニオンリーダーによる炎症性腸疾患(IBD)講演会実施

IBD専門育成プログラムも第5期目に入り、現在プログラム修了者は35名に達し、そのほとんどがIBD治療薬を持つ製薬会社で活躍しています。今回は、基調講演に際して、今までの修了者のブラッシュアップも含めて、「生活者である患者さん」にフォーカスを当て、医師の立場、栄養士の立場から課題と現状についてご講演していただきました。


講演の様子1
講演の様子1

最初に北里大学医学部 消化器内科学 講師 横山 薫先生より「変り行くIBD診療~IBD診療の現状について~」という演題で、臨床医として毎日患者さんと向き合って感じていることを率直に話していただきました。
「IBDの患者数は、医療受給者数で2004年潰瘍性大腸炎(UC)80,311名、クローン病(CD)23,188名から2014年にはそれぞれ170,781名、40,885名と10年で約2倍に増加しています。当院でも中学生から95歳までの患者さんがおり、小児、女性、高齢者などの年代別にどのような生活をしているのか、どんな悩みを抱えているのかをよく知ることが治療を進める上で重要です。」


講演の様子2
講演の様子2

「複数の生物学的製剤やUCではタクロリムスの承認等もあり、ここ10年で治療の選択肢が急激に増えました。一方で、治療の選択肢が複数存在する場合、SDM(Shared decision making協働的意思決定または患者参加型医療)を進めるにあたって、患者さんに説明するための資材が不十分です。院内で作成している施設もあるようですが、製薬会社から提供された資料ではプロモーションコードなどの規制は理解できるとしても、使いにくいものがほとんどです。また、治療目標も症状改善やステロイド中止、手術回避から粘膜治癒へと変遷してきています。しかし、患者さんは症状軽減により医療受給者証明所持者が打ち切られた場合の自己負担額の増加や自覚症状の改善により来院しなくなり、再燃悪化して来院する場合があり、患者さんの治療へのモチベーションを高く維持するためにも患者教育が大切になっています。医師、薬剤師以外のメディカルスタッフに対する情報提供も重要性を増しており、製薬会社やMRは、薬物療法の知識以外に患者さんの置かれた状況を理解した幅広い知識に基づいた情報提供が求められています。」



続いて、国立大学法人 東京医科歯科大学医学部付属病院 臨床栄養部 副部長 斎藤恵子先生より「IBD患者の薬物療法を有効に活かすための栄養管理」として、栄養管理面から患者さんの置かれている状況と実際の指導内容について講義を受けました。 「栄養指導は、直接患者さんと向き合って指導を行います。IBDの患者さんは、診断が確定する前から、ほとんどの方が下痢、腹痛、肛門病変などがあり、病気のために下着を汚したり、知らない間に漏れてしまったりと人間の尊厳が損なわれかねない状態で悩んだりしています。個室で患者さんと向き合うことで、栄養指導以外に生活の悩み、医師や看護師との付き合い方など踏み入った話もしています。また、かつては情報が無くて困っていましたが、最近は情報が在り過ぎて患者さんは何が正しいのかわからずに振り回されていることがあり、そういったことへの相談にも対応しています。」

講演の様子3
講演の様子3

「従来のチーム医療は、患者さんに服薬、食生活など様々なことを守ってもらうというコンプライアンスが中心でした。現在のチーム医療は、病気を中心に据えて、患者さんも自分自身の病気を考え、自分で必要なケアを実行し、他のチーム員はそれをサポートするという考えに変わっています。栄養指導では、「便」は「お便り」として現在の状況を教えてくれる情報と位置付け、患者さんが病気とうまく付き合い、日々の生活を快適に過ごせるように、必要なケアをサポートしています。また、医師、看護師などの医療関係者とのコミュニケーションをうまく行うためのアドバイスにも取り組んでいます。」

講演の様子4
講演の様子4

患者さんの栄養状態を向上するために、UC、CDに対する具体的な栄養療法の実際について事例を交えて講演いただきました。特にがんになった時など、体力が無いと治療が限られる場合もあり、「他の専門領域MRにも栄養に興味を持ってほしい」と結ばれました。



両講師とも、患者さんは日常生活上の悩みを抱えながら治療を受けており、医療関係者は個々の患者さんの生活を受け止めて治療にあたっていることを考えられるMRとして活動することを期待しておりました。また、IBDにおける並存疾患の治療、がんにおける栄養療法の重要性など、担当製品にかかわる疾患、薬物療法以外の幅広い知識の必要性を訴えらえており、アポプラスステーションでは、その期待に応えらえるMRを育成していきます。
受講生の質疑にもご丁寧に対応していただきましたことも含めまして、横山先生、斎藤先生に改めて感謝申し上げます。



アポプラスステーションでは、「いのちの現場の、力になりたい。」というミッションを具体化する一環として、2017年より専門MRの育成に取り組んできました。 現在、オンコロジー、炎症性腸疾患(IBD)、中枢神経系(CNS)の3つの専門MR育成プログラムを通じて、特定の製品を持たないCSOならではの視点で、 製品軸に偏らない公正な薬物療法の知識を持つ専門MRを育成してきました。アポプラスステーションのMRの育成方針に賛同いただいた多くの専門医より基調講演、講義、ロールプレイなどを通じてご協力いただいています。
私たちは、全MRが「医療現場から求められる医薬情報担当者」となることをCSO事業部の柱に据え、本社スタッフの存在価値はその育成にあると位置付けています。
この想いに賛同しただけるMR、MRを目指す方の入社を心より歓迎いたします。

MR経験者はこちら>>
MR未経験者はこちら>>
アポプラスステーションの教育について>>
アポプラスステーションのコントラクトMRについて>>